平均値の計算

平均値を求めたいときがあります。

いま営業日数を\( N \)とし、毎月一定、例えば \( N = 20 \)、とします。

すると、まずは毎日の売り上げ x の和

$$ 和 = x_{1} + x_{2} + \dots + x_{N-1} + x_{N} $$

を月末に計算しますね。

つづいて、次の式

$$ 平均値 = 和\div N $$

を使って、月の平均売上げを求めればよいですね。

では、2か月間の平均値を求めたい場合はどうなるでしょう。

暗算で確かめるために、毎月、\( N=3\) として簡単化をしてみます。

一か月目の売り上げ \( 1, 2, 3 \)

二か月目の売り上げ \( 4, 5, 6 \)

だとします。

一か月目の平均値:

$$ (1 + 2 + 3) \div 3 = 2 $$

よくあることですが、1か月が過ぎると売り上げの内容はすっかり忘れてしまい、ただ、1か月目の平均値が \( 2 \)であることだけは覚えていますね。

二か月間の平均値は、1か月目の売り上げの内容を覚えている場合には、

$$(1 + 2 + 3 + 4 + 5 + 6)\div (3 + 3) = (7 \times 6 \div 2)\div 6 = 3.5 $$

として、二か月間の平均値は \( 3.5 \) であるとわかります。

それでは、1か月目の売り上げ内容をすっかり忘れた場合はどうすればよいでしょうか。

平均値 = 数字の総和 を データ数 で割った値

を思い出します。

平均値の計算には、数字の内容の詳細が必要なのではなくて、総和が必要だということです。

そうすると、1か月目の数字の総和を求めればよいですね。

総和は平均値とデータ数の掛け算で求めることが出来ます。

すると、1か月目の総和は

$$ 2 \times 3 =6 $$

となります。これは\( 1+2+3=6 \)という総和と一致しています。

従って、2か月間の平均値は、

$$ (1か月目の総和 + 4 + 5 + 6 )\div (3 + 3) = (6 + 4 + 5 + 6)\div 6= 3.5 $$

と計算できました。

平均値とそれを計算したときのデータ数さえ覚えておけば、

それ以後の期間の平均値を正しく求めることが出来るわけです。

今度は、売り上げが進むごとに都度、平均値を求めることを考えてみましょう。\( N=100 \)ともなれば、売り上げ伝票もどこにいったか分からなくなってしまいますね(そんなことがあってはいけませんが)。

売り上げが自然数の列として挙がってきたとします。

\( r \)日目までの推移:

$$ 1日目の平均値 = 1\div 1 =1 $$

$$ 2日目までの平均値 = (1 + 2)\div 2 = 1.5 $$

$$ 3日目までの平均値 = (1 + 2 + 3)\div 3 = 2 $$

$$ \dots $$

$$ (r-1)日目までの平均値 =(1 + 2 + 3 + \dots + r-2 + r-1)\div (r-1) = (1+(r-1))\times(r-1)\div 2\div (r-1) $$

$$ r日目までの平均値 = (1 + 2 + 3 + \dots + r-1 + r)\div r =(1+r)\times r \div 2 \div r $$

となります。ただし、これらの式によって計算される平均値の数字は売上げの数値が自然数の列として出たときに限って正しいのですが、売り上げ伝票をずっと追いかけながら和をとり、データの個数で割り算をするという計算の大変さを理解していただくには十分な例だと思います。

ここでは天才ガウスによる和の計算法を使っています。本サイトのブログ「自然数の和の計算」を参照ください。

この計算方法だと、\( r \)日目までの平均値を出そうとすると、初日からの伝票をずらりと並べてそれらの総和をとって、データ個数 \( r \) で割り算をする必要があります。

できれば、売り上げ伝票はその日が終われば携帯電話で撮影してデータベースにしまってしまいたいですね。

そのようにするにはどうすればよいでしょうか。

先ほどの、平均値とデータ数の掛け算がその平均値を求めるのに使った数字の総和、であることを思い出してください。\( m \)日目までの平均値は計算しているとして、その数値を\( <m> \)と書くことにします。

\( (r-1) \)日目までの総和は、

$$<r-1>\times (r-1)$$ で計算できます。

すると、

\( r \)日目までの平均値は、

$$<r> = ( <r-1>\times (r-1) + r ) / r $$

で計算できます。この式を見ると、\( r \)日目までの平均値の計算には、\( (r-1) \)日目までの平均値\( <r-1> \)と\( r\)日目の売り上げ伝票の数値\( r \)のみがあればよいことがわかります。

つまり、毎日、その時点までの平均値を出すには、前日までの平均値を記録しておき、その日の売り上げ伝票さえあれば計算ができます。毎日、ため込んだ売り上げ伝票を袋から取り出しては机の上にずらりと並べて、それらを足し上げることは必要ないのです。

ここは自然数の列で売り上げの数値が出てくるとしましたが、例えば、3日目までの平均値を計算する場合、3日間の売り上げの数値が、\( 2.8, 1.6, 3.2 \)といった実数であっても、

$$一日目の平均値 = 2.8 \div 1 = 2.8 $$

$$二日目までの平均値 =(2.8\times 1 + 1.6)\div 2 = 2.2 $$

$$三日目までの平均値 =(2.2\times 2 + 3.2)\div 3 =2.533 $$

となり、計算するための考え方は同じです。

検算をしてみます。

$$ (2.8 + 1.6 + 3.2)\div 3 =2.533 $$

となるので、上の計算は合っています。

この方法は使えば、過去の売り上げの平均値に対して、本日の売り上げの具合の良しあしがすぐに判断できます。便利な方法ですね。

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